• 2024年10月12日(土)公開

    ジョージア映画祭2024

    ジョージア映画は奇妙な現象だ。
    特別であり、哲学的に軽妙で、洗練されていて、同時に子どものように純粋で無垢である。
    ここには私を不覚にも泣かせるすべてがある。 (フェデリコ・フェリーニ監督)
    公式HP
    https://georgiafilmfes.jp

    上映時間

    10月12日(土)~10月25日(金)

    ※10/15(火)・10/22(火)は定休日です。

    10月12日(土)
    14:45 ひとつ空の下 -3 つのエピソード
    16:50 インタビュアー

    10月13日(日)
    14:45 奇人たち
    17:00 サマニシヴィリ家の継母

    10月14日(月)
    14:45 昼は夜より長い
    17:00 渦巻

    10月16日(水)
    14:45 奇妙な展覧会
    16:45 青い山 - 本当らしくない本当の話

    10月17日(木)
    14:45 カジェティ砦&少女デドゥナ
    16:50 ひとめ惚れ

    10月18日(金)
    14:45 渦巻
    16:50 奇人たち

    10月19日(土)
    17:40 19 世紀ジョージアの記録
    19:10 ロビンソナーダ - 私の英国人の祖父

    10月20日(日)
    17:40 母と娘 - 完全な夜はない
    19:30 ペチョラ川のワルツ

    10月21日(月)
    17:40 マグダナのロバ&ピロスマニのアラベスク
    19:30 ピロスマニ

    10月23日(水)
    17:40 ウジュムリ&ブバ
    19:30 19 世紀ジョージアの記録

    10月24日(木)
    17:40 ペチョラ川のワルツ
    19:45 母と娘 - 完全な夜はない

    10月25日(金)
    17:40 ピロスマニ
    19:20 マグダナのロバ&ピロスマニのアラベスク

    当日券(1作品)
    一般 1800円 大学生 1400円 中高生以下 1000円 シニア(60歳以上) 1300円 障がい者 1100円 会員 1400円 学生・シニア会員 1100円

「過去なくして未来はない」(ジョージア・フィルムの標語)。「ジョージア映画祭2024」では、2022年に引き続きソ連邦時代のジョージア映画を特集する。政治体制の抑圧に屈することなく、人間と時代を描いたジョージア映画黄金期の作品が、戦争と暴力が世界を覆う今日、一層の輝きを帯びて蘇る。
ジョージア(サカルトヴェロ)映画は、この国の歴史ある民族文化と同じく、独自の存在感を世界に示してきた。それはポリフォニー(多声音楽)のように多彩な豊かさを内包し、古代から伝わるワインのように芳醇である。そしてスプラ(ジョージア式宴会)のように民族の魂を謳い、高揚させ、度重なる苦難のなかで人々の心を支えてきた。

『ひとつ空の下 -3 つのエピソード』 ラナの長篇第1作であり、3話から成るオムニバス。1921年、赤軍侵攻下で避難する貴婦人の愛。1941年、大祖国戦争勃発下の娘の日々。1961年、「雪どけ」期の女性建築士の想い。歴史の節目となった年を背景に各時代の女性の運命を鮮烈に描く。80分。

『インタビュアー』 ラナの作品はいずれも高い知性と繊細な感性を感じさせ、女性と時代、女性と社会を鋭く捉える。本作はジョージア初のフェミニズム映画といわれ、女性新聞記者の家庭における葛藤、そして彼女の女性たちへの取材の日々をとおして現代を浮き彫りにする。95分。

『奇人たち』 ジョージア国民にこよなく愛される作品。無一文の青年が、憲兵隊が横暴を振るう奇妙な町で、牢獄に幽閉された老発明家とともに空飛ぶ機械を完成させようとする──自由への願いと全体主義への痛烈なアイロニーが込められた奇想天外な冒険物語。79分。

『サマニシヴィリ家の継母』 19世紀末の緑豊かな田園が舞台。貴族だが今は貧しい老父が突然再婚を決意する。家族のために身を粉にして働く息子には父の遺産が減ることは大問題だった。しかし彼は父の相手を探すために旅に出る。心に染み入る悲喜劇。全ソ連映画祭グランプリ。87分。

『昼は夜より長い』 20世紀初頭の東ジョージア、秘境トゥシェティの山間の村が主な舞台。旅芸人が狂言回しとなり、主人公エヴァの波乱の生涯が、老いた彼女の回想でジョージアの近代史とともに語られる一大絵巻。1983年カンヌ国際映画祭正式出品作品。ジョージア国家賞。105分。

『渦巻』 「転回」という邦題で1986年東京国際映画祭最優秀監督賞を受賞。80年代のトビリシで異なる人生を歩んでいた何人もの運命が交錯し、緊密に絡み合ってジョージアに生きる人々の心模様、歓びや哀しみを描く。ゴゴベリゼ監督の力量が遺憾なく発揮された名作。98分。

『奇妙な展覧会』 エルダル独特のユーモアとペーソスが開花した作。西ジョージアの古都クタイシで、一人の彫刻家が師から受け継いだ大理石を前に傑作を夢見るが、激動する時代に翻弄されてゆく。自らの人生を受容してゆく姿を描いた人間愛に溢れる国民的映画。93分。

『青い山 - 本当らしくない本当の話』 カンヌ国際映画祭で歴史的名作ベスト20に選ばれた。若い作家が自作の小説を出版するために出版所を訪れる。そこの異星の住人のような職員の奇妙な姿をとおし、役人社会の現実を笑いと風刺で描いたエルダルの代表作。ソ連邦崩壊を予見した作品。95分。

『カジェティ砦』 原作『豹皮の騎士』は、ジョージア人の心の礎ともいえる12世紀の長篇叙事詩。この国の黄金時代に宮廷詩人ショタ・ルスタヴェリからタマル女王に捧げられた。その詩のクライマックスである騎士たちのカジェティ砦攻略とネスタン姫の救出を描く。33分

『少女デドゥナ』 母を亡くし、山間の村で父と暮らす少女の質朴な生活を静謐な映像でとらえる。自然と人間の暮らしを繊細に謳い上げた詩的作品。現在、プリントは失われ、今回は監督から提供されたDVDから上映素材を制作した。マンハイム映画祭グランプリ。64分

『ひとめ惚れ』 熱烈なサッカーファンのアゼルバイジャン人の少年が2歳年上のベラルーシ人の娘に恋をする。文化や年齢の違いが人々を巻き込む大騒動へと発展する。台詞が飛び交う群像劇を得意とするエサゼ監督(「ナイロンのクリスマスツリー」)の真骨頂の世界。90分

『19 世紀ジョージアの記録』 深い森を舞台に謎めいた陰謀が描かれる。モノクロームの夢幻的ともいえる詩的で象徴的な映像、迷宮のような世界に政治体制への思いが込められた伝説的作品。権力による暴力が超現実的な虚構空間で寓意的に表現され、時代を超えた内容である。67分

『ロビンソナーダ - 私の英国人の祖父』 1987年カンヌ国際映画祭最優秀新人監督賞受賞作。時代は赤軍に侵攻される1921年頃。ジョージアの山村でイギリス人電信技士が村の娘と恋に落ちる。時代が揺れ動く中で、彼は村人たちから追い出されるが、電柱の周囲は英国領だと主張して居座る‥。76分

『母と娘 - 完全な夜はない』 ラナ・ゴゴベリゼ監督が95歳にして、ソヴィエト体制下における母ヌツァとの日々を語った作品。ヌツァはスターリン時代に家族を粛清され、自らも10年間流刑された。厳しい時代を生きた母へのオマージュ。今年のベルリン国際映画祭に正式出品された。89分

『ペチョラ川のワルツ』 1937年の大粛清という苛酷な時代を真正面から描いた自伝的作品。父は人民の敵として処刑され、母は北の大地に流刑され、雪原での厳しい日々を強いられる。娘アナは一人残され‥。アブラゼ監督「懺悔」に続く、スターリン時代の暗黒を描いた作品。106分

『マグダナのロバ』 1956年カンヌ国際映画祭短編部門グランプリを獲得、ジョージア映画を世界に知らしめた。後の巨匠アブラゼ監督とチヘイゼ監督の第1作。病気のロバを救った貧しい母子の姿を描き、硬直化した映画界に新風を吹き込んだ。旧邦題「青い目のロバ」。71分

『ピロスマニのアラベスク』 パラジャーノフ監督はトビリシ生まれのアルメニア人。その傑出した才能のために投獄され、長く沈黙を強いられたが、ジョージア映画人の協力で復活を果たす。画家ピロスマニへの敬愛の思いを自らの汎コーカサス的ともいえる目眩く美意識で描く。22分

『ピロスマニ』 ピロスマニ(1862?-1918)は日々の糧とひきかえに絵を描き続けた。シェンゲラヤ監督は画家の人生と魂を清冽に描き、その姿にジョージアの人と文化、歴史、風土への思いを重ねた。そして映画「ピロスマニ」はイコンのように崇高な輝きを帯びてゆく。86分

『ウジュムリ』 ソ連邦初の女性監督による長篇劇映画。完成後、ヌツァは粛清され、作品も押収されて近年まで存在すら確認できなかった。西ジョージアの湿地帯で中央政府の啓蒙政策、水路建設の人々と土着の住民の軋轢を描く。ギア・カンチェリの音楽が入った新版。56分

『ブバ』 コーカサスのラチャ地方の大自然のなかで、村人の厳しい労働と四季折々の暮らしを描いたドキュメンタリー。幼子の描写や村人たちの群舞に、斬新なモンタージュを用い、彼女の傑出した才能を感じさせる。「ウジュムリ」と同じく近年発見された。39分

イベント情報
【スペシャル・オンライン・イベント】
10/12(土) 14:45 『ひとつ空の下』上映後 はらだたけひでさん (ジョージア映画祭企画・制作) オンライン・トーク!
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