• 2025年4月5日公開

    ブリティッシュ・ノワール映画祭

    これまで日本でほぼ紹介されてこなかったイギリスのフィルム・ノワールを一挙公開!
    公式HP
    https://www.ks-cinema.com/movie/britishnoir/
    上映時間

    4月5日(土)〜4月18日(金)

    4/5(土)
    17:50  ブライトン・ロック
    19:40 その信管を抜け
    4/6(日)
    17:50 ビッグ・ボウの殺人
    19:30 二つの世界の男
    4/7(月)
    17:50 日曜日はいつも雨
    19:35 私は逃亡者
    4/9(水)
    17:50 兇弾
    19:25 夢の中の恐怖
    4/10(木)
    17:50 街の野獣
    19:40 ミュンヘンへの夜行列車
    4/11(金)
    17:50 青の恐怖
    19:35 妖婦
    4/12(土)
    17:50 ミュンヘンへの夜行列車
    19:40 ビッグ・ボウの殺人
    4/13(日)
    17:50 街の野獣
    19:40 ブライトン・ロック
    4/14(月)
    17:50 第七のヴェール
    19:30 兇弾
    4/16(水)
    17:50 その信管を抜け
    19:50 日曜日はいつも雨
    4/17(木)
    17:50 妖婦
    19:50 青の恐怖
    4/18(金)
    17:50 私は逃亡者
    19:40 二つの世界の男

    ※4/8(火)・15(火)は定休日です。

    当日券(1作品)
    一般 1500円 大学生 1300円 中高生以下 1000円 シニア(60歳以上) 1300円 障がい者1100円 会員 1300円 学生・シニア会員 1100円
ブライトン・ロック
[日本未公開] 殺人のアリバイを破りかねない少女を口止めするために近づくギャング。自身も少年である彼は、しかし愚かなまでに純真である少女に心乱され始める。グレアム・グリーン原作(脚色にも参加)のブリティッシュ・ノワールを代表する一本。ブライトンはロンドン郊外の海岸の保養地であり、その陽光に満ち溢れた地での犯罪がかえって暗さを増す。ニューロティックで残忍、半面の脆さという矛盾を体現するアッテンボロー。たまたま殺される直前の被害者と一緒だったことから事件にかかわり、ある意味探偵役を務める中年女歌手がどこにでも現れて不気味。仲間内の弱い輪である男を殺す階段場面のショッキングなカッティングと構図の切れ味。アッテンボローがいじるあやとり糸や人形、少女との切ない絆となるレコードなどの小道具にも注目。 (92分)

日曜日はいつも雨
[日本未公開] 降りみ降らずみの日曜日の朝、脱獄のニュースを耳にする主婦。脱獄囚は十年前将来を約束したギャングだった。思い出される男との華やかな記憶。そこに脱獄囚が現れる。列車の高架で閉ざされた見晴らし、狭い裏庭、メゾネットの二階といった空間の巧みな使用。夫、夫の連れ子の姉妹、実子の少年といった副登場人物の奥行き深い描写。日曜の一日に女の悲哀を封じ込めた、ブリティッシュ・ノワール最大の隠し玉ヘイマーの傑作。(91分)

私は逃亡者
[日本未公開] アル中と化した英国空軍退役パイロット、ギャングの首領にハメられて長期の懲役を食らうが、復讐のため脱獄する。原題は「彼らは私を逃亡者にした」、ギャングの首領がまずその「彼ら」の筆頭だが、それだけにとどまらないというのが本作がノワールたる所以である。根深い人間不信に彩られたブリティッシュ・ノワールの神髄を見届けよう。ラストの格闘場面の舞台となる葬儀屋の店内、その屋上といったロケーションが素晴らしい。(97分)

兇弾
 原題は「青いランプ」、これはイギリスで警察署の軒先に掲げられるランプシェードを指し、ひいては警察を象徴する。その題名通り、警察官二人が日常業務をこなすセミドキュメンタリー的描写と、家出少女とそのボーイフレンドの青年(ダーク・ボガートが演じる)らの犯罪が交錯し、それが交わる時悲劇が起こる。イギリス犯罪映画の中で社会的視点を取り続けた(イギリスの山本薩夫というべきか)ディアデンのイーリングでの出世作。 (81分)

夢の中の恐怖
 イーリングを代表する三人の作家アルベルト・カヴァルカンティ、ロバート・ヘイマー、ベイジル・ディアデンを含む監督たちによるイーリング顔見世興行的ホラー・オムニバス。田舎の館の修理に招かれた建築家が、建物、そこに集ったゲストに既視感を覚えるという出来事を導きの糸に、ゲスト一人ひとりの語る怪奇な話が綴られる。一見幸せそうな結婚生活に対して抱かれた不満が、不思議な鏡を通して滲み出すヘイマー編が傑出。尚本作は『デッド・オブ・ナイト』のタイトルで以前公開されている。(103分)

その信管を抜け
[日本未公開] ドイツの新型爆弾に立ち向かう科学者を描く戦争映画だが、これがノワールたりえるのはその主人公の抑鬱された内面描写ゆえだ。彼は片足を失い、閑職に追いやられ、その憂さ晴らしにアルコールに逃げている。恋人との約束でアルコールを自らに禁じた彼が禁断症状で見る幻覚。ついに去った恋人が自身の肖像写真を抜き去った後の写真立ての空虚。彼は一人爆弾に対峙することで自己回復しようとする。ノワールにして人間ドラマ。(106分)

街の野獣
 チンピラ山師が、伝説のプロレスラーを口八丁で担ぎ出し、一山当てることを夢見る。ロンドン中をこま鼠のように金策に走り回るウィドマークの切迫、亭主の支配から逃れようとあがくグーギー・ウィザースの焦燥。『裸の町』を撮ったダッシンが、ロンドンを生々しく捉える。この映画のためにロンドンに来た彼は撮影中に密告され、アメリカに帰ることなく、その後パリでこれもノワールの傑作『男の争い』を撮り、さらにギリシャに赴く。(95分)

ミュンヘンへの夜行列車
[日本未公開] ドイツに併合される直前にイギリスへ亡命したチェコ人科学者の父娘、ナチのスパイによって奪還された彼らを救うべく、イギリス人スパイがドイツに潜入。ナチ将校に変装して、移送される父娘と共にミュンヘンに向かう夜行列車に乗り込むが、その正体がばれ…。ヒッチコック『バルカン超特急』の二人組がここでも活躍、たまたま同じ列車に乗って巻き込まれた彼らがドイツ相手に立ち向かうことを決意するちょっとした場面が効果的。(95分)

二つの世界の男
 東ベルリンからの難民を西側に逃がす組織と、それを壊滅させようとする東ドイツの組織の争いに巻き込まれたイギリスからの女性旅行客。過去に傷を抱えた陰のある男が、自身の生命と誇りをかけて彼女を救おうとする。まだ東西を分かつ壁が作られていない五十年代初頭のベルリン(まだ瓦礫がそこら中に残る)の記録映像としても貴重。主人公を慕う少年が自転車でどこにでも(スケートリンクにも入ってくる)現れるのがおかしい。(102分)

妖婦
 十七世紀を舞台とする悪女もの。平凡を嫌い、刺激を求める女が、友人の婚約者を略奪結婚するに始まり、付近に出没する強盗の真似をして味を占め、何度も繰り返すうちその本人と遭遇、彼の情婦として共に強盗を繰り返す。さらには本性を知った召使を毒殺、懸賞金のかかった情夫を密告、死刑にまで至らしめ、と悪の限りを尽くす。ゲインズボロー・スタジオ制作の大衆的メロドラマ(ゲインズボロー・メロドラマと称される)の代表作。(104分)

青の恐怖
 ドイツの空襲におびえる田舎の村。ある男の手術中、麻酔のミスで彼が死ぬ。それを殺人だと告発した看護人女性も殺される。スコットランド・ヤードからやってきた警部が捜査を開始する。全体はこの警部のナレーションでなされるが、警部が山高帽で常に傘を持っているひょうきんなイメージで、ノワールの宿命論的ナレーションというよりはおとぎ話のように聞こえる。戦時中なので劇場を病院に流用、田舎の村の夜の暗さが印象的。(91分)

第七のヴェール
 入水自殺未遂したピアニストが催眠術治療を受け、過去を語り始める。夜の川に吸い込まれてゆく白い夜着、回想に入ると後景に退いてゆく医師といった夢魔的な映像。孤児となった彼女を引き取った叔父によって彼女はピアニストの道に導かれるが、しかし彼は足が悪く孤独、抑圧的な男だった。恋する機会をその都度彼によって奪われ続けた彼女は次第に絶望していく。『ジェーン・エア』や『嵐が丘』につながる愛憎絡み合う男女の肖像。(87分)

ビッグ・ボウの殺人
特別上映[日本未公開] 死刑執行の後に誤認逮捕と判明して免職になったスコットランド・ヤードの警部が殺人事件に遭遇し、その犯人として逮捕された友人を救うために奔走する。イギリスで育ち、大学に通ったシーゲルが、十九世紀ロンドンを舞台にして撮った初長編作品。善と悪の境界が判然としない曖昧な境域、明暗の明確な照明や遠近の際立つ構図など、いかにもノワールな世界観であり、画面。ロンドンが舞台だが、すべてワーナー・スタジオでの撮影。(86分)(公式サイトより)

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