• 2024年7月13日公開

    ニナ・メンケスの世界

    知られざるアメリカの女性監督、ついに日本公開
    公式HP
    https://ninamenkesfilmfes.jp/
    上映時間

    7月13日(土)
    15:40 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー
    17:45 マグダレーナ・ヴィラガ

    7月14日(日)
    15:40 クイーン・オブ・ダイヤモンド
    17:45 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

    7月15日(月)
    15:40 マグダレーナ・ヴィラガ
    17:45 クイーン・オブ・ダイヤモンド

    7月17日(水)
    15:40 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー
    17:45 マグダレーナ・ヴィラガ

    7月18日(木)
    15:40 クイーン・オブ・ダイヤモンド
    17:45 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

    7月19日(金)
    15:40 マグダレーナ・ヴィラガ
    17:45 クイーン・オブ・ダイヤモンド

    7月20日(土)
    20:10 クイーン・オブ・ダイヤモンド

    7月21日(日)
    19:40 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

    7月22日(月)
    19:40 マグダレーナ・ヴィラガ

    7月24日(水)
    19:40 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

    7月25日(木)
    19:40 クイーン・オブ・ダイヤモンド

    7月26日(金)
    19:40 ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

     

    当日券(1作品)
    一般 1800円 大学生 1400円 中高生以下 1000円 シニア(60歳以上) 1300円 障がい者 1100円 会員 1400円 学生・シニア会員 1100円

    ※当日2作品ご覧になる一般の方は、2作品目は200円割引ます。
ニナ・メンケス
1963年(55年、65年の説もある)、ナチスの迫害から逃れたユダヤ人の両親の元、ミシガン州アナーバーで生まれる。カリフォルニア州バークレーで育ち、UCLA在学中の1981年に初の短編“A Soft Warrior”を手掛ける。主演は妹のティンカ・メンケスで、以降も多くの作品で協働する。83年にイスラエルと北アフリカで撮影した中編“The Great Sadness of Zohara”を発表、アリソン・アンダース監督から「この10年でベストの作品のひとつ」と評される。91年の初長編作『マグダレーナ・ヴィラガ』はサンダンス映画祭に出品、ロサンゼルス映画批評家協会賞で最優秀インディペンデント/実験映画賞を獲得するなど高い評価を得た。その後もLAを拠点に、ユダヤ系としてのアイデンティティを色濃く反映させながら、女性たちが対峙する内面世界や孤独、暴力、セックスといったテーマを見事に昇華させ、寡作ながら商業主義とは一線を画した妥協のない映画作りを続けている。

『マグダレーナ・ヴィラガ』殺人の容疑で、ひとりの娼婦が捕まった。彼女の名前はアイダ、そしてこうも呼ばれる──マグダレーナ・ヴィラガ。刑務所を、ネオンがきらめくダンスホールを、プールサイドを、彼女が長い時を過ごす寝室(ブドワール)を横断し、時系列を曖昧にしながら、映画は女の肉体的、精神的な細部をとらえ、孤独な<囚われの女>アイダが生きる血濡れた世界と、内なる心の世界を描き出してゆく。静かに沈んだブルーの映像のなか、いくつかの言葉は何度も祈りのように繰り返され──私はここにいる、私はここにいない、私を絶対に縛らないで──突き刺すような美しさとなって燃え上がる。主演は、メンケスの5本の映画に出演した最大の協力者にして実の妹、ティンカ・メンケス。90分。

『クイーン・オブ・ダイヤモンド』ラスベガスで生きる女性ディーラー、フィルダウス(インドネシア語で“楽園”の意)の倦怠に満ちた日常を描いた傑作。昼間は瀕死の老人を介護し、夜はカジノでカードを配る。時には砂漠に浮かぶ湖に友人と出かけたり、恋人に手を上げる隣人に悪態をついたり、行方不明になった夫の消息を探ろうと施設に足を運ぶものの、放たれる言葉や歌声は誰にも届かず、何も変容しないまま一日が過ぎる。眩暈がするほど煌びやかなネオン、無機質なアパートメント、純白のシーツやウェディングドレス、業火に焼き尽くされる大木。大胆な構図でとらえたショットがことごとく美しく圧倒的で、永遠に続くかのような反復とそこかしこに横たわる暴力に感覚が麻痺していく。75分。

『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』映画というメディアがいかに「Male Gaze=男性のまなざし」に満ち、当然のこととして受け止められてきたか、そして、その表現がいかに我々の実生活に影響を及ぼしているか。この事実と問題点を、ラング、ヒッチコック、スコセッシ、タランティーノといった有名監督の名作から2020年代の最新作まで大量の映画のクリップを用いて、メンケス自ら解き明かしていく傑作ドキュメンタリー。フェミニスト映画理論のパイオニア、ローラ・マルヴィをはじめ業界で活躍する女性陣も次々とインタビューに登場、彼女たちの真摯な闘いの言葉が力強く響きわたる。本作を見終わったあとは、あなたの映画へのまなざしも永遠に変わるかもしれない。107分。
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